現在、久米島に生育している植物について
ホウロクイチゴ(ばら科)Rubus siebolii 1B 平成12年5月撮影 場所 仲里村上阿嘉
原野や林縁などに見られる半つる性の常緑低木。茎はつる状にのび、土に接したところから根を出し、新苗を
生じます。花は白色で直径2cm内外、果実は赤く熟して食用になる。茎全体に小さなトゲがあるので、実を取る
時は注意が必要。
リュウキュウバライチゴ(ばら科)Rubus rosaefolis Smith ssp.maximowiczii Focke
平成12年5月撮影 場所 上阿嘉
陽当たりの良い山裾や山地路傍、キビ畑の土手などに生える低木。幹には刺があり、高さ1-1.5m位になる。
葉は奇数羽状複葉、小葉は広被針形で先は細くとがる。花は白色で美しく、頂生の集散花序に1-3個つきます。
果実は球形で紅紫色に熟し、甘みがありおいしい。種子や根を地下から伸ばしていき、新しい芽を出してどんど
ん増えるので畑地などに生えるとやっかいな植物である。
イヌマキ(まき科)Podocarpus macrophyllus D.Don. 沖縄方言名 チャーギ
雌雄異化株の常緑高木で高さ10-20m、直径30-60cmくらいになります。葉は扁平な線形で、先端はとがり、上面
は深緑色で下面は淡緑色をしています。果実は卵円形で長さ1cm内外、熟すると紫紅色に色づき甘くておいしい
です。 木は建築材として大変重要です。生け垣や公園樹などにも利用されます。
モッコクモドキ(ばら科)Rhaphiolepis indica Lindl. 別名 オキナワシャリンバイ 方言名 ティカチ
マツ林からイタジイ林内にかけて見られる常緑亜高木。幹は直立し、高rさ2-6mくらいになる。葉は固い革質で
倒被針状長楕円形、表面は暗緑色でいくぶんつやがあります。花は白色で芳香があり、頂生の円錐花序に密
に数 多く咲きます。果実はやや球形で直径1cmくらい、紫黒色に熟します。 果実は食べられます。
久米島紬の染色原料に利用しています。
シマカナメモチ(ばら科)Photinia wrightiana Maxim. 平成12年5月撮影 場所 具志川村字仲地
山地に生える亜高木で幹は直立し、高さ3-5mになる。葉は長さ5-10cmくらいの倒卵状長楕円形で、革質、先は
鈍くとがり互生する。花は白色で小さく、小枝の先の方に散房花序をだし、多数集まって咲きます。果実は球形
で熟すると赤くなります。
モッコク(つばき科)Ternstromia japonica Thunb. 平成14年1月撮影 場所久米島高校校庭
マツ林からイタジ林にかけて広い範囲にわたって見られる高木です。幹は直立して高さ20-30m、直径1mにもなる
といわれていますが、マツ林で見られるには3-5mくらいのものがおおいようです。葉は長楕円状倒卵形で光沢があり
、先の方はいくぶん円くなっています。花は黄白色で小さく、葉腋から花梗を出してやや下向きに咲きます。庭や公園
などに植えられ、樹はオキナワシャリンバイに似ています。
サザン花(つばき科)Camellia sasangua Thunb. 平成11年12月撮影 場所 アーラ山の頂上付近
山裾から山地にかけて見られる常緑の亜高木で、幹は直立して高さ3-5mくらいになり、樹皮はいくぶん白みをを帯
ます。葉は革質、長楕円状卵形、両面中助上に粗毛があり、先は鋭くとがります。花は白色の美しい花で枝の先に単
性します。 庭木や盆栽によう利用されています。
ヤブツバキ(つばき科)Camellia japonica L. 平成13年9月撮影 場所 大岳小学校裏庭
山地に生える常緑の亜高木。幹は直立して高さ3-5mくらいになり、樹皮は灰白色を帯びてなめらかです。葉は卵形
、革質、表面は濃緑色で光沢があり、裏面は淡緑色をしています。花は一般に赤色をしています。果実は球形で種子
から油を取ることができます。久米島には「久米しらなみ」、という白い花を咲かせるものや、薄いピンク色の種類もあ
ります。
イジュ(つばき科) Schima wallichii Korthals ssp.liukiuensids Bloemb.
海岸近くの二次林からシイ林にかけ、広い範囲にわたって見られる常緑の高木。幹は直立し高さ20m、直径1mに
も達するといわれています。葉は披針状長楕円形で先はとがり、枝の先の方に集まってつき、花は白色-淡黄色
で、枝先に集まって咲きます。和名の「イジュ」は方言名からきたものと思われます。具志川村では平成10年にだる
ま山公園の近くに沢山の苗を植林しています。この木の汁は魚毒にもなりますので、屋敷林としてはあまり良くない
と思います。
カラスザンショウ(みかん科) Zanthoxylum ailantoides S.et Z. 平成11年10月撮影 場所 儀間の上焼却炉近く
低地から山地に生える高木で、高さ7-15mくらいになります。枝はまばら分岐して傘状の樹冠をつくり、小枝には
短形の刺があります。葉は大型の奇数羽状複葉で長さ30-70cm、小葉は5-13対、長楕円形または披針形で先はし
だいにとがります。縁は微鋸歯縁、裏面はいくぶん白色を帯びます。花は白色で小さく。直径3-4ッm、頂上の散房花
序に密につきます。果実は球形で直径5ッm内外、裂開して辛みのある種子を出します。
ヘッカリンドウ((りんどう科) Swertia tashiroi Mak. 平成12年12月撮影 場所 だるま山公園
山地の樹下や路傍斜面などに見られる無毛の多年生総ワンです。葉は洋紙質、倒卵状長楕円形で表面は暗緑
色、先はとがり根元に輪生状につきます。秋から冬にかけて中心部から20-50cmくらいの花茎をのばし、疎な円錐
花序をつくり、5裂する緑白色の花を咲かせます。
クロツグ(やし科) Arenga tremula Becc. var. engleri Hatusima 平成11年9月撮影 場所大田ほたる館前の山
石灰岩地帯の低地から山地にかけて見られる常緑の低木です。幹は直立し、葉鞘は腐れてできた黒色の粗い繊維で
密に覆われます。葉は大型の羽状複葉で長さ3mくらいになり、多数の小葉をつけます。小葉は線形で長さ30-50cm
くらいになり、裏面は灰白色を帯びます。核果は直径2cmくらいで橙赤色に熟します。昔は葉を組んで敷物を作ったり
して遊びました。
ノボタン(のぼたん科) Melastoma candium D.Don 平成11年4月撮影 場所 アーラ山の山頂付近
陽当たりのよい山裾からマツ林にかけて見られる常緑の低木。幹は直立し高さ1-2mくらいになります。木全体に淡褐色
の剛毛があります。葉は対生、卵状楕円形で先はとがり、表面に粗毛がある。花は紫紅色で美しく、枝の先に数花集ま
って咲きます。この仲間には白花性のものがあり「シロハナノボタン」と呼んでいます。果実は食べられます。酸性を好む
植物なので鉢植えする場合は土に注意する必要があります。
サガリバナ(さがりばな科) Barringtonia racemosa Spreng. 平成11年9月撮影 場所白瀬川公園
海岸近くの湿った林内や川岸林内に生える常緑の亜高木で、高さ4mくらいになります。葉は倒卵状長楕円形で、先は
細長くとがります。枝の先の方から長さ30-50cmくらいの総状花序を下垂し、白色でふっくらとした美しい花を連ねて咲
かせます。和名の「サガリバナ」は花が垂れ下がって咲くので名付けられました。
シマコガネギク :別名 アキノキリンソウ(きく科) Solidago virgaure L. var. insularis Haras
平成11年12月撮影 場所 アーラ山山頂付近
陽当たりの良い山裾や山地路傍に見られる多年生草木。茎は直立し、高さ20-70cmくらいになります。根葉は被針形-
長楕円形で、両面共に微毛があり、葉柄から中助にかけて、しばしば赤紫色を帯び、先はとんがり、互生します。頭花は
直径1cmくらいで橙黄色で茎の先に塊状または散房状に集まって咲きます。薬草として膀胱炎や腎臓病によく効くよう
です。
オキナワテイショウソウ:別名 マルバハグマ(きく科) Ainsliaea macrolinidiodes Hay. var. okinawensis Kitamura
平成11年12月撮影 場所 アーラ山山頂近く
山地の樹下に生える多年生草木で、茎は短い根茎から1本または数本出て、高さ20-50cmくらいになります。葉は洋紙
質、広卵形で下部の方に集まってつき、先はとがり、表面は無毛でつやがあります。頭花は径8ッm内外で白色、茎や枝
の先につきます。本種は久米島ではアーラ山の山頂付近でしか確認していません。
ホソバワダン(きく科) Crepidiastrum lanceolatum Nakaki 平成11年2月撮影 場所アーラ山
方言名:モーンジャナ 、ンジャナ
海岸近くのいわばから山裾にかけて見られる多年生草木、茎はときに木化して高さ10cmくらいになり、多数の枝を四方に
のばして広がります。葉はへら状長楕円形で先は、または鈍くとがり、茎や枝の先にロゼット状に集まってつきます。久米
島では昔から薬草や野菜の代用として利用されていましたが、最近ではあまり利用する人はいません。薬草として解熱、
胃腹痛胃潰瘍、胃けいれん、回虫駆除などに良く効くようです。
ツワブキ(キク科) Farfigium japonica kitam. 方言名 チーパッパー
久米島の山野の至る所にじせいしています。1月から2月初旬にかけて長い花茎を伸ばし鮮やかな黄色い花を咲かせま
す。葉は220-30cmの円形で、つるつるしてツヤがある。「ツワブキ」の名は葉にツヤがあり、フキに似ていることからつけ
られました。葉柄は食用になります。薬草として糖尿病、心臓病、魚の中毒の解毒にも利用されます。
ナシカズラ(またたび科) Actinidia rufa Planch 平成11年12月撮影 場所 アーラ山 方言名 ミーガークーガー
山地に自生する大型の藤木で葉は楕円形-広楕円形をし、先の方はとがります。花は黄白色で1.5-2cmぐらいです。果
実は緑黄色で3cmぐらいの大きさになります。熟すると甘酸っぱい味で食べられます。キーウイーフルーツこの種の変種
です。和名の「ナシカズラ」は果実がナシに似ていることから名付けられました。久米島ではお盆の時に仏壇にこの果実
を供えました。昔、旧盆に供えるその他の果実はアダンの実、バンジロウ(グアバ)の実、コバン持モチの実などです。
トベラ(とべら科) Pittosporrum tobira Dryand ex Ait. 平成11年12月撮影 場所 アーラ山の頂上
方言名 トゥビラギ 、トゥベーラ
海岸近くから、マツ林にかけて見られる常緑雌雄異株の小高木です。葉は狭倒卵形で長さ8cm内外、先は幾分円み
を帯び小枝の先の法に集まってつきます。花は淡黄白色で芳香があります。木全体に特殊の臭いがあります。山羊
がよく食べます。
ウラジロエノキ(にれ科) Trema orientalis Bl. 平成12年8月撮影 場所白瀬川下流付近
山地に生える常緑の中高木で幹は直立し、高さ5-10mくらいになる。樹皮は灰白色を帯びている。葉は卵状被針形で
先の方はしだいにとがる。葉の表面は緑色、裏面は絹毛のために銀白色をしている。実は卵形で熟すると黒くなる。
リュウキュウマツ(まつ科) Pinus luchuensis Mayr. 平成12年撮影 方言名 マーチ
トカラ列島の悪石島から西表にかけて分布する2葉性の松で、沖縄県の県木に指定されています。葉は直立し、高さ20-
25m、直径1m以上にもなる常緑の高木です。久米島の山野の多くはこの「リュウキュウマツ」が占めています。平成5年
9月に襲来した超大型台風の影響やその後の潮害台風などの影響で、樹齢200年以上の大木が山のあちらこちらに立ち
枯れています。空港近くの松並木も10年ほど前までは観光客から絶賛されたものですが殆ど枯れてしまい残念です。
クスノハカエデ(かえで科) Acer oblongum Wall.ssp.itoanum Hatusima 平成13年12月撮影 場所 兼城
石灰岩地帯の低地から山地にかけて見られる常緑の高木で、幹は直立して高さ5-10mくらいになり、葉は広い卵形でうすい
革質、樹皮は帯灰色、表面は緑色でつやがあり、下部はいくぶん白みを帯び、先の方はしだいにとがり3本の葉脈が目立
つ。「クスノハカエデ」の名は葉が「クスノキ」に似ているから名付けられたようです。久米島では大田、兼城部落の一帯に多
くみられます。
ハクサンボク(すいかずら科) Virunum japonicum Spreng 平成18年撮影 場所 だるまや山
マツ林や山地路傍、林縁などに見られる常緑の亜高木です。幹は直立し、高さ2-4mくらいになり、1年枝は帯紫褐色をして
います。幹が比較的まっすぐなので、昔は竹がわり屋敷囲いの材料に使ったりしました。葉は広楕円形で、表面は光沢が
あります。花は3月中旬から4月にかけて白色の小さな花で、頂生の散房花序に密に咲きます。核果は楕円形で平たく、
赤色に熟します。花がきれいなので生け花の材料に利用されています。
ツルグミ(ぐみ科) Elaeagnus glabra Thunb. 平成11年3月撮影 場所 だるま山頂上付近 方言名 クービ
陽当たりの良い山裾や林縁などに普通に見られる常緑の藤木です。茎は半つる性で長く伸び、長さ3-5mくらいになります。
葉は長楕円形で先はとがり、裏面には赤褐色の鱗片を密布し、互生します。実は長楕円形で赤紅色に熟します。実は熟し
たら食用になり甘酸っぱい味がします。酒に漬けてワイン風にもできます。近年、盆栽として人気があり、茎の大きなものは
少なくなりつつあります。成長が早いので生け垣や「ヒンプン」などいろいろな利用が考えられます。
モクタチバナ(やぶこうじ科) Ardisia sieboldii Miq. 平成11年5月撮影 場所だるま山頂上付近 方言名 ンジュン
山地に生える亜高木。幹は直立し、高さ4-8mくらいになります。葉は革質、倒被針形で先はわずかにとがります。シシアクチ
に似ていますが葉脈がはっきりしないこと、花が白色、果実は球形で、初め紅色で後に暗褐色になる点で区別することがで
きます。果実は食べられます。葉は世界最大の蛾「ヨナグニサン」の幼虫の食べ物になります。
マンリョウ(やぶこうじ科) Aridsia crenata Sims. 平成11年6月撮影 場所 だるま山付近
山地の樹下に生える常緑の低木。幹は直立して、高さ50cm-150cmくらいになります。葉は厚質で光沢があり、倒被針状で
先はとがり互生します。